JR東海は割安株なのか?リニア投資で見落とされる将来の増配余地を考察
インバウンド需要の回復により、鉄道株への注目が高まっている。私自身も複数の鉄道銘柄を保有しているが、いずれも好調だ。一方で、多くの鉄道株が上昇した現在、「まだ割安に放置されている銘柄はないだろうか」と考えたとき、私が注目しているのがJR東海である。
PERやPBRといった指標を見る限り、JR東海は決して高く評価されている銘柄ではない。その背景にはリニア中央新幹線という巨大プロジェクトが存在する。しかし私は、このリニア投資こそが将来の株主還元につながる可能性を秘めていると考えている。
鉄道株が強い理由
鉄道会社の強みは単なる鉄道事業ではない。
多くの鉄道会社は駅を中心とした不動産事業を展開している。駅ができれば商業施設やオフィスビル、タワーマンションが建設される。そして人が集まることで鉄道利用者が増え、さらに街が発展するという好循環が生まれる。
近年はインバウンド需要の回復も追い風となっており、鉄道株全体が評価されやすい環境にある。さらに旧村上ファンド系による鉄道株への投資も話題となっており、市場の関心は高い。
しかし、その一方で既に大きく上昇した銘柄も多く、新たな投資先を探すのは簡単ではない。
なぜJR東海なのか
私が注目するのはJR東海である。
現在の主要指標は以下の通りだ。
- 株価:3,918円
- PER:8.36倍
- PBR:0.72倍
- ROE:11.44%
- 配当:32円
- 配当利回り:0.82%
配当利回りを除けば非常に優秀な数字が並ぶ。
特にROEが10%を超えているにもかかわらず、PBRが1倍を大きく下回っている点は興味深い。
配当利回りが低い理由
JR東海最大の特徴は、配当性向の低さである。
現在の配当性向は約5.6%。
一般的な上場企業の配当性向が30~40%程度であることを考えると、極めて低い水準だ。
その理由は明確で、リニア中央新幹線への巨額投資である。
現在、品川-名古屋間だけでも約9兆円規模の投資が必要とされており、利益の多くが設備投資や財務基盤の強化に回されている。
しかし見方を変えれば、それだけ将来的な増配余地があるとも考えられる。
例えば現在の配当32円を単純に6倍すると192円となる。
現在株価ベースでは配当利回り約4.9%となり、一気に高配当株へ変貌する。
また、配当利回り3%を目標にしただけでも年間配当は約118円必要となる。
決して非現実的な数字ではない。
JR東海の収益力は高い
JR東海は長年にわたり高い収益性を維持してきた。
ROEはコロナ前には12%を超える年が続き、現在も10%前後を維持している。
純利益も平常時で4,000~5,000億円規模を稼ぎ出している。
仮に9兆円の投資を30年で回収するとしても年間3,000億円程度であり、会社全体の収益力を考えれば十分に返済可能な水準だと考えている。
JR東海最大の強みは東海道新幹線
JR東海のドル箱は言うまでもなく東海道新幹線である。
東京・名古屋・大阪という日本最大級の経済圏を結ぶ路線であり、日本の大動脈ともいえる。
「リニアが開業すると東海道新幹線の利用者が減るのではないか」という意見もある。
しかし私はそうは考えていない。
速達需要はリニアへ移行する一方で、東海道新幹線には輸送余力が生まれる。
その結果、
- ひかり
- こだま
の利便性向上が期待できる。
言い換えれば、「のぞみ」がリニアへ移り、その空いた枠を既存利用者向けに活用できる可能性がある。
さらに近年は個室型座席の導入など、新たな付加価値サービスも拡大している。
リニア完成後のシナリオ
現時点ではリニア中央新幹線の開業時期は未定である。
静岡工区の問題などもあり、当初予定の2027年開業は実現しなかった。
ただし市場では2030年代半ばの開業を期待する声が多い。
仮に2035年前後に開業するとすれば、その頃にはAIや自動化技術もさらに進歩している可能性が高い。
- 人件費削減
- 運行効率向上
- 保守業務の自動化
なども期待できるだろう。
また工事が一段落すれば、会社としても株主還元へ資金を振り向けやすくなる。
そうなれば大幅な増配や自社株買いが行われる可能性もある。
まとめ
JR東海は現在、
- PER8倍台
- PBR0.7倍台
- ROE10%超
という割安感のある指標を示している。
一方でリニア投資による巨額負担が続いているため、配当利回りは0.8%程度と低い。
しかし、見方を変えればこれは将来の増配余地でもある。
リニア開業と投資回収の目途が立てば、現在の低配当が大きく改善される可能性は十分あるだろう。
日本の大動脈である東海道新幹線を抱え、安定した収益基盤を持つJR東海。
私は長期目線でコツコツ買い増していきたいと考えている。
※本記事は個人の見解であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。
